外国企業の従業員が、その企業の日本に所在する本店もしくは支店・事業所等において、技術・人文知識・国際業務の在留資格にあてはまる業務を行うために一定期間異動する場合には、企業内転勤の在留資格(ここでは企業内転勤ビザとします)が認められます。
以下の全てにあてはまる場合、企業内転勤ビザに該当します。
- 企業内転勤に該当する事業所の範囲での転勤である。
- 期間を定めて転勤するものである。
- 申請人が日本で行う業務が技術・人文知識・国際業務の在留資格の範囲内である。
>> 技術・人文知識・国際業務
親会社、子会社、関連会社の定義は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則第8条」に基づきます。
- 本店と支店間の異動:本店⇔支店・営業所
- 親会社と子会社間および孫会社間の異動:本店⇔子会社⇔孫会社、親会社⇔孫会社
- 子会社間および孫会社間の異動:子会社⇔子会社、子会社⇔孫会社、孫会社⇔孫会社
- (親会社が曾孫会社まで一貫して100%出資している場合のみ)
曾孫会社間、孫会社と曾孫会社間の異動:孫会社⇔曾孫会社、曾孫会社⇔曾孫会社 - 関連会社への異動:親会社⇔親会社の関連会社、子会社⇔子会社の関連会社
在留資格・ビザの手続きについてよくわからない方は、以下のページからご覧ください
基本的な要件
出入国在留管理局(以下、「入管」)は、申請人のこれまでの経歴や日本で行う業務とその契約内容だけでなく所属機関の事業内容や経営状況などを考慮して、申請人の在留資格の該当性を総合的に判断します。
申請する在留資格にかかわらず、許可の基準を満たすことが前提です。
>> 在留資格・許可の基準
また、申請人および所属機関の状況が、以下を満たしていることが必要です。
- 日本の業務に支払われる報酬が、同じ業務に従事する日本人の報酬と同等額以上(月額20万円以上)であること。
- 申請人の受入先(契約機関・所属機関)では事業が適正に行われており、かつ事業の安定性および継続性が認められること。
以下の(A)と(B)に該当していることが必要です。
(A)企業内転勤に該当する転勤であること
- 外国の転勤元と日本に所在する転勤先との関係が企業内転勤の範囲内であることを立証できること。
- 日本に所在する転勤先では、期間を定めて、技術・人文知識・国際業務に該当する業務に従事すること。
>> 技術・人文知識・国際業務
申請人の学歴・職歴が技術・人文知識・国際業務の要件を満たす必要はありません。
期間の定めがない場合は、技術・人文知識・国際業務に該当しますので、その場合は申請人の学歴・職歴が技術・人文知識・国際業務の要件を満たしている必要があります。
同一の法人内での転勤である場合は、日本で従事する内容について改めて日本の配属先で雇用等の契約を結ぶ必要はありません。
(B)転勤の直前に、親会社等において該当業務に一定期間従事していること
日本への転勤直前に親会社等において、技術・人文知識・国際業務に該当する業務に少なくとも1年間継続して従事していることが必要です。
なお、申請人が転勤直前に親会社等に所属はしていたものの長期間休暇をとっていたなどの場合は、「継続して業務に従事していた」とはみなされない可能性があります。
補足・注意事項
企業内転勤ビザ以外の在留資格に該当する可能性
高度専門職:
申請人の経歴によっては、高度専門職ビザにも該当している可能性があります。高度専門職のポイント計算表で70点以上のポイントを取得できる場合には、ご検討ください。高度専門職ビザ5年間の在留期間が取得できるなど、優遇措置があります。ただし、高度専門職ビザでは、所属機関・契約機関に変更があるたびに変更申請が必要です。
技術・人文知識・国際業務:
日本への転勤直前に親会社等における技術・人文知識・国際業務に該当する業務の従事期間が1年未満の場合や、直近1年間のうちの殆どを長期休暇していた場合、期限がない転勤などは、技人国ビザに該当します。
経営・管理:
外国の親会社等にて会社の代表権がある方が日本に転勤する場合は、経営・管理ビザに該当します。
申請するには
外国に居住する外国人を日本へ呼び寄せる、もしくは短期滞在の外国人が申請する場合には、在留資格認定証明書交付申請(COE APPLICATION)を申請します。
特定の在留資格のもと既に日本で活動している外国人は、原則、在留資格変更許可申請をします。
在留期間
永住者を除く全ての在留資格に在留期間が設定されています。
在留期間は、申請した在留資格と申請者の状況に応じて、入管が決定します。
企業内転勤ビザでは5年、3年、1年、3ヶ月のうちのいずれかが、状況に応じて決定されます。
同じ活動内容でその後も日本で滞在する場合には、在留期間更新許可申請をします。在留期間満了日の3ヶ月前から満了日までに手続きをして下さい。
>> 在留期間更新申請
在留カードをもつ外国人が旅行などで一時的に日本を出国し、再度入国する場合には再入国許可もしくはみなし再入国許可が必要です。
>> 再入国許可申請
基本的な必要書類
以下は入管が基本的に求めている書類の一例です。
申請人および送出機関・受入機関の状況に応じて、在留資格の該当性をどういった資料で立証できるのかを検討しながら、準備しなければなりません。
認定申請および変更申請の場合
- 申請書
- 申請用写真(縦4cm×横3cm)
- [変更申請の場合]在留カードおよびパスポート
- カテゴリーのいずれかに該当することを証明する文書
- 申請人の活動内容などを明らかにする次のいずれかの資料(活動内容、期間、地位、報酬を含む)
- 同一法人内の転勤の場合:転勤命令書、辞令等
- 法人が異なる転勤の場合:労働条件通知書、雇用契約書など
- 役員である場合:役員報酬を決議した株主総会議事録、報酬額決定書など
- 転勤前の事業所と転勤後の事業所の関係を示すいずれかの資料
- 同一法人内の転勤の場合:
外国法人が日本に事務所を有することを明らかにする資料(営業所の登記事項証明書など) - 日本法人への出向の場合:
出向元の外国法人と日本法人の出資関係を明らかにする資料(株主リストなど) - 日本に事務所を有する外国法人への出向の場合:
-外国法人が日本に事務所を有することを明らかにする資料(営業所の登記事項証明書など)
-出向元の外国法人と日本法人の出資関係を明らかにする資料(株主リストなど)
- 同一法人内の転勤の場合:
- 申請人の経歴を証する資料
- 履歴書・経歴書(職歴が記載されているもの)
- 転勤前過去1年間に従事した業務内容、役職、報酬などを明示した書類(在職証明書など)
- 事業内容を明らかにする資料
- 登記事項証明書
- 会社概要(沿革、役員、組織、事業内容、取引先や実績などが記載されているもの)など
- 直近年度の決算書
- 新規事業の場合:事業計画書
- 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
- 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出できない場合:
- [源泉徴収の免除を受ける場合]外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料
- [上記以外の場合]給与支払事務所等の開設届出書の写し、直近3ヶ月分の源泉納付書もしくは源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
更新申請の場合
- 申請書
- 写真(縦4cm×横3cm)
- 在留カードおよびパスポート
- 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
- 直近年度の住民税の課税・所得証明書および納税証明書
- [前回の申請時以降に所属機関に変更があった場合]認定申請及び変更申請の場合に求められている、所属機関・事業所等に関する資料全て
注意事項・備考
- 外国語で記載されている書類は全て日本語翻訳を添付することが必要です。
- 審査期間中に入管から追加書類を求められることがあります。
- 申請人の雇用主が次にあてはまる企業の場合、省略できる書類があります。 1)上場企業、2)法定調書合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上、3)前年分の法定調書合計表を提出できる企業
- 日本の官公庁・市区町村で発行される証明書は、発行日から3ヶ月以内のものを提出します。